東証の市場構造改革、(東証再編)において株式市場投資家に与える影響を、素人の個人的な意見として綴っておきます。ほぼ素人意見なので的外れな点もあるのでご了承ください。
株式絡みの投資において今回の見直しは大きな影響がでると考えています。中でもTOPIXの銘柄見直しは興味深いです。
市場構造改革の狙い
(金融庁ホームページより)
- 上場企業やベンチャー企業の持続的成長と企業価値の向上
- 内外の投資家にとって魅力あふれる市場
- 時期は2022年上半期が目途
- 現在5つの区分を3つにする
プライム市場(仮称)
スタンダード市場(仮称)
グロース市場(仮称)
個人的な解釈としては一部上場先の数が2100社、市場全体で約3650社占有率58%と多く時価総額が小規模な企業や流通株が少ない企業が散見されており、資金調達の場としての上場の意義と、投資家から見て投資に値しない企業が上場しており東証一部のバリューが低下することを危惧しているのではと思っています。
この記事ではプライム市場だけピックアップします。
プライム市場とは
- 高い流動性時価総額
- 高いガバナンスを備え、投資家との建設的な対話を、企業価値向上の中心に添える企業が上場
- 新たに上場する企業は、流通時価総額等の上場体質基準を厳格化
- その他収益性基準がある
詳しくは、金融庁ホームページ
市場に与える影響を考える三つのポイント
今回の改革でプライム市場を取り巻く企業において、大きく三つがポイントと考える
- プライム市場に上場
- プライム市場に上場しない
- TOPIXの組み入れへの影響
この三点について、それぞれの影響と市場の動きを考えてみます。
プライム市場のメリットデメリット
企業のメリット
- 資金調達
- ブランド力
投資家のメリット
- 流動性がある
- ガバナンスがしっかりしている
- 時価総額基準や収益性基準があり、企業価値を上げることが至上命題として明確化される
企業側のデメリット
株主である投資家のメリットを満たす必要があること。
特に東証1部でも小規模中規模の企業においてガバナンスの強化、英字での開示資料や社外取締役設置などは負担が重くなる可能性がある。
投資家側のデメリット
基準を満たす企業、満たせない企業の選別が必要。
当初は経過措置があるので、すでに一部上場銘柄を保有している場合においてすぐに影響はでないが、将来的に、スタンダード市場に降格する可能性がある銘柄の場合、株価下落要因になると考えます。
プライム市場を選択する企業の動き
- すでに一部上場している企業の動き
- 二部やマザーズ、ジャスダックに上場している企業の動き
構造改革が実施される際に、東証一部に上場している企業は基準を満たしていなくてもプライム市場に残れる経過措置があります。
基準を満たせない企業が、当初は経過措置があるものの、いずれは基準を満たす必要があります。
流通株式が少ない企業において、大株主創業家一族や持ち合い株の株式売り出しが考えられます。他方で創業家一族や持ち合い株は安定株主ですが、この比率が下がることになります。
案では非流動性比率は2/3未満であれば大丈夫とのことで、過半数を保有できるのであれば、あまり影響はないのかもしれません。
ただ、今回の改革では上場企業は株主の目にさらされ、より良い経営、企業価値の向上を図るものであり、もの言う株主を歓迎することと、してますので安定株主の存在が問われている面もあります。
創業者一族が株主など安定株主が多い企業は、投資家から敬遠される可能性があるかもしれません。
また、上場している企業は三極化するのではないでしょうか。
- 時価総額が大きく安定している企業
- 基準ギリギリの企業が降格にならないように、企業価値を大きくするために、獅子奮迅する企業
- 創業者一族が経営から離れていたり、創業者一族が株式をあまり保有しておらず、雇われ社長が経営している企業。プライム市場にいるモチベーション、インセンティブが低くなる可能性。
2、3の違いはプライマリー市場にこだわる意地があるかどうかと考えます。
東証二部やマザーズジャスダックに上場している企業及び新規上場先について東証一部に駆け込み上場する企業が増える可能性があります。
時価総額が大きい先は東証一部ステップアップの可能性大。ステップアップによって株価が上昇する可能性があります。
プライム市場から離脱する企業
- スタンダード市場に行く。
- 非公開化(MBO)
- 合併や持ち株会社化
スタンダード市場だと流通時価総額にこだわらなくて良いですし、プライム市場に比べガバナンスがそこまで厳しく求められていません。
一方で株式の買い手が少なくなる可能性はあります。
スタンダード市場においては二極化が考えられます。
- 自由な経営ができることで、業績が伸びる会社
- 低空飛行を続ける会社
見極めは難しいですが、スタンダード市場で業績堅調な会社は今後面白い可能性がある。
MBOにて非公開化は動きが出てきている気がします。
2020年2月の時点で、非公開化の動きとしてオーデリックや総合メディカル、豆蔵、等々があります。
上場のメリットとして、資金調達とブランド力が挙げられますが、上場してから市場で資金調達をしていない企業は多く存在しますし、上場の有無に関わらずブランド力がある会社はあります。
上場維持にかかるコストは、東証一部で小規模の企業でも5000万円から1億円程度かかり、それだけ利益を食ってしまうことになります。さらに今後は英字の開示資料を義務付けられたり、社外取締役を置かないといけないなど煩わしいことが相当出てきます。
以上のことから非上場化して自由な経営をしていくのは合理的です。
既存株主は非公開化に伴い、株式公開買い付けが行われることとなり、株価にプラスαのプレミアムが付いて売却ですることができます。
では、どういう企業がMBOするのでしょうか。
- PBRが1倍前後低ければ低いほど、MBOはしやすい
- キャッシュ及びキャッシュフローが潤沢
- 株主構成が創業者一族など大株主がいる
- 時価総額が300億円以下
このような東証一部上場企業はMBOの可能性が高いです。
実際、MBOするオーデリックは現金が150億円以上ありますし、営業キャッシュフローも40億円程度とキャッシュリッチな企業です。株主構成からある程度一族で保有しており、今回一族の資産管理会社が買い付け者としてMBO化するようです。
合併や持ち株会社化の動きも出るのではと思います。
大規模企業への売却や合併(この場合は吸収合併)によりプライム市場上場企業のブランドを維持する。時価総額が同規模の企業の対等合併も十分ありえます。
2019年は、ZOZOのヤフーへの売却やファンケルがキリングループ入りするなど、M&A関連の動きが活発だった気がしますが、今後もこの動きは活発化されるのではないでしょうか。
どの企業とどの企業がというのは難しいですが、業務提携先で、規模が同程度や大小の差がはっきりしている先はこういった動きがあると思います。
TOPIXへの影響
TOPIXは東証一部上場企業全部が対象の指数で、そのTOPIX指数に連動した運用商品が多数あります。
今回の市場構造改革では投資家にとって魅力ある市場を目指していますので、TOPIXについても見直しを検討しています。
金融庁では主なポイントを以下としています。
市場区分とTOPIXの範囲を切り離す。
現在のTOPIXとの連続性を考慮しつつ、より流動性を重視して選定。
投資家の影響として。新基準はプライム市場上場の基準と同じ流通時価総額となりそうです。
流通時価総額で100億円や120億円と言われています。流通株とは主要株主や役員保有株式、持ち合い株式などを除いたもののようですが、まだ明確には決まっていません。
今の時価総額が200億円の企業でも50%超が大株主など安定株主が持っていると、流通時価総額が100億円下回ってしまうことがあります。
そういった銘柄は新TOPIXから除外されてしまいます。
ただ一定の時期に機械的に組み入れから除外すると連続性の観点やマーケットに与える影響が多いことから、数年程度時間をかけて慎重に移行が行われるとのことです。
TOPIXから除外されると株価下落要因になりますので投資家としては、こういった銘柄への投資は避けたいと考えます。
TOPIXに連動する運用商品の場合、その運用する機関投資家がTOPIXに該当する2,000社近くの株式を保有しているわけではありません。
なので、今回TOPIXから除かれても元々保有していないので直接影響はありませんが、他の多くの機関投資家がTOPIXをベンチマークにしていますので、TOPIX基準を満たさない銘柄には投資しなくなるでしょう。結果、株価下落要因になると考えます。
時価総額が200億円以下の東証1部上場銘柄は流通時価総額を気にしたほうがよいと思います。
今回の改革で流通時価総額は大きなポイントになります。今後もこの点は注視が必要です。
まとめ
2019年上期には時価総額基準が大きく見直されるような議論がありましたが、2019年12月の審議会では現上場している企業は経過措置を設けることとしたりと、緩やかな改定が議論されています。
個人的には経過措置があるものの、プライム市場の基準を満たさない、もしくはギリギリといった会社の資本政策が活発化するのではないかと思っています。