資産運用を続けていく上で、「流動性資金の確保」は極めて重要なテーマです。
相場急落時のチャンスを逃さないため、また、不測の出費にも対応できるよう、
常に一定の現金を確保しておくことが、結果的に長期的な投資成果に大きな差を生みます。
本記事では、筆者の実体験をもとに、流動性資金がなぜ重要なのか、
どのように確保・運用・活用すべきかを体系的に整理します。
流動性資金が必要になった経緯(体験談)
2025年2月ごろより前は、相場環境がよく、手持ち資金ぎりぎりで資産運用をしていました。
投資対象は主に、投資信託と確定利回りが魅力の不動産クラウドファンド。
そこにきて、2月下旬ごろ住宅購入の検討があり、手付金500万が必要となりました。
流動性資金がなかったので、野村信託銀行の有価証券担保ローンを活用。
まだこの時は、相場は安定していました。
そこから、トランプ関税ショックで相場が急落し、担保評価額がどんどん下がり、
一部繰上返済が必要となり、ぎりぎりの余裕資金を返済に回さざるを得なくなりました。
何かあれば。野村信託銀行で借りられると思い、流動性資金を確保していないのが甘かったです。
むしろ、有価証券担保ローンは相場が悪い時に借りた方が、それ以降担保評価への影響が少なくなり、
さらに、相場が下がっているので追加投資として好機となると反省しました。
いや、そもそも、有価証券担保で借りて有価証券で運用するのは良くないです。
なぜならリスク分散になっていないからです。
話を住宅購入に戻します。
住宅ローンの審査において有価証券担保ローンは極度借入利用となり、住宅ローン可能額が
満額より下げられ、希望額が借りられなかったため、ローン特約で契約白紙解除をすることになりました。
それ自体はよかったのですが、白紙解除の申し出をしたものの、
不動産屋がローンを組める銀行を探すから待ってくださいと言われ、
OKをしてしました。
ですが、結果、取り組める銀行がなく無駄に時間がかかりました。
契約解除の手続きも、業者の休みが入ったり、売主が体調が悪いため手続きできなかったり、
最初の申し出から1カ月以上、返金されませんでした。
この時の教訓は、ダメと判断した時はすぐに回収に動かないといけないということです。
業者をむりやりでも動かす必要があったなと学びました。
追い打ちをかけるように、不動産クラウドファンドが償還延期となりました。
本来なら3月~6月にかけて500万円ほど償還されるはずでしたがだったが、
事業者の方で売却ができず償還延期とのこと。
不動産クラウドファンドは途中解約ができません。
投信や株は損でも一旦現金化し、別の投資に資金を回せますが、不動産クラウドファンドの場合、
事業者の判断でずっと償還が先送りされる可能性があります。
安定運用に思えましたが、景気がいい時を前提に利回りが設定されていて、
相場急落し景気が悪化すると、対象不動産が売却されずに償還期間が延ばされてしまう
リスクがあることを痛感しました。。
金輪際、不動産クラウドファンドはやりません。
相場の急変、住宅購入の検討、不動産クラウドファンドの償還延期が重なって、すごくストレスとなりました。
気持ちに余裕がないと投資判断も誤ります。
相場急落時に追加投資すればいいものを、余裕資金がなかったので、
相場が少し戻った時に200万円ほど売却してしまいました。
その後、相場は回復し数十万円利益を逃してしまいました。
この教訓から、流動性資金を確保することは、相場急落時に追加投資資金になることと、
冷静な投資判断をするために、非常に大事だと学びました。
教訓
現金がないと追加投資もできず、チャンスを逃す。
生活や精神の余裕がなくなり、投資判断が鈍る。
不動産クラウドファンドは安定資産に見えて実は流動性リスクが大きい。
現金ポジションの軽視は、マーケットのボラティリティと生活イベントのダブルパンチで致命傷になりうる。
流動性資金とは何か?
流動性資金とは、「すぐに使える」「価格が安定している」資産です。
ただし、少しでも利回りを得ようとするとリスクが増すため、「欲をかかない」姿勢が重要です。
流動性資金の分類
- 即時解約・価格変動なし
証券会社MRF(楽天証券の場合、楽天銀行)
銀行普通預金・定期預金
流動性資金のうち50%をこちらに。 - 数日で解約可能・価格変動なし
円建て保険、個人向け国債(ただし1年解約不可)
流動性資金のうち50%をこちらに。 - 数日で解約可能・価格変動あり(株とは異なる動きのもの)
金ETF
流動性資金ではないが分散投資として保有。
投資資金のうち10%を金で置く。 - 価格変動あり
株式、為替投信
安定運用のものでも流動性資金には含まない - 解約制限あり・価格変動少
不動産クラウドファンド
長期据え置き。ポートフォリオから除外。
「長期投資」と「長期据え置き」は別物。使えない資金は、リスク管理の視点では無価値です。
どれぐらい流動性資金を確保するか?
以下の割合とします。
まず、半年から1年分のいつでも使える生活資金として200万円を確保
運用資産を100% (5,000万円)とした場合、
投資資金 70% (3,500万円)
金ETF 10% (500万円)
流動性資金 20% (1,000万円)
この配分を守ることで、相場がどう動いても対応可能な態勢を維持します。
投資資金のポートフォリオ
ついでに、投資資金のポートフォリオです。
債券は組み込まず、株式で構成。
債券を組み込むと分散投資になるといいますが、長期で見た時に株の方が圧倒的に
パフォーマンスがいいです。
さらに、株が下がる時に、債券も下がることがよくあり、分散効果が得られていないので、
分散効果を最大化するには、流動性資金しかないのです。
以下のような分散戦略を取ります。
日本:インデックス 5%、アクティブ 5%、レバレッジ 10%
アメリカ:インデックス 15%、アクティブ 10%、レバレッジ 25%
インド:インデックス 5%、アクティブ 5%、レバレッジ 10%
中国:インデックス 5%、アクティブ 5%
流動性資金を活用するタイミング
暴落時に感情的に飛びつかないことが大切です。
以下のルールで機械的に追加投資を行います。
3か月に一度、ポートフォリオを見直します。
相場を見ながら暴落のタイミングとかではなく、あくまで時間分散にこだわります。
なぜなら、その暴落が一時的なものかわからず下落相場になっている可能性もありえるからです。
そのため、時間分散にこだわります。
暴落のタイミングを逃したとしても、長期で安定した運用をすることを第一と考え、
利益が取れなかったとしても割り切ります。
流動性資金の貯め方
給与からの積立
投資で得た利益の一部を取り崩し、現金化
リバランス時に流動性資金を補充していくイメージです
リバランスのルール
3ヶ月ごとに資産状況を確認し、ポートフォリオ比率を調整。
利益が出ている場合
運用資産が目標金額の+5%以上になってたら、超過分だけ解約。
解約資金は次のように配分:
生活資金(200万円)に回す
残りの50%を流動性資金へ
残りの50%を不動産投資資金へ
ここで急に不動産投資資金の話がでましたが、筆者は不動産投資もしていますので、
追加で記載しておきます。
不動産投資資金は、上記の解約金と不動産からのCFで貯めていきます。
不動産にかかる経費はこのCFで賄います。
物件3棟取得までは繰上げ返済はしません。
3棟保有したら以降、繰上げ返済に充当していく資金戦略です。
損失が出ている場合
目標金額に届いていない場合、追加購入を実施します。
3か月一度に購入に充てる資金は、流動性資金の1/3まで。
目標金額に達するまでは流動性資金が減っていく一方ですが購入を続けます。
流動性資金が枯渇したら、相場が戻るのをひたすら待ちます。
おわりに
「現金は投資していないからもったいない」と思うかもしれません。
しかし、投資とは“待つ”ことも含めての戦略です。
キャッシュの余裕が、精神の余裕につながり、ひいては冷静な投資判断をもたらします。
リターンを追うだけでなく、守りながら攻めるための流動性資金戦略を、
ぜひ自分なりに築いてみてください。